今回は、屋外でコンポストに取り組む方法をご紹介します。
コンポストというのは『たい肥』という意味で、一般家庭では生ごみや枯草を栄養たっぷりの土に変えることを指します。
裏庭やベランダなどを活用して、生ごみを資源に変えることが出来たら素晴らしいです。
コンポストは奥が深い世界。
農家さんなどのプロフェッショナルが多量の有機物(稲わら、米糠、家畜の糞など)をしっかり発酵させるやり方もあれば、私たちのように一般家庭で生ごみをまったり発酵させるやり方など、色々あります。
我が家の屋外コンポストはとてもシンプルで、日常的に生ごみや枯草をポイポイ投入して、まったりとたい肥化する簡単なものです。
私たちのコンポストは都会の省スペースの庭やマンションのベランダでも取り組めるような小規模なものです。高温で発酵させる必要はないですし、山の落ち葉が微熱で発酵・分解されていくようなゆるやかなイメージを持つと良いと思います。
この記事では我が家のコンポストを紹介しながら、屋外のコンポストについて説明していきたいと思います。
コンポストの構造
我が家の屋外コンポストは、木枠で制作したシンプルな箱です。

コンポストには、土と有機物を交互に入れていきます。熟成した土は下から取り出せるようにコンポスト下部に扉をつけています。
※この記事では、生ごみや枯草をまとめて【有機物】と表記します。
基本的には、土と有機物を溜める『枠』と、それにかぶせる『蓋』があればコンポストは作れます。
私たちは木枠でDIYしましたが、素材は何でも構いません。段ボールでもプラスティックのバケツでも可能です。蓋の代わりにビニールで覆うなどもOKです。
コンポストの構造に決まりはありません。有機物がうまく発酵・分解するための条件を押さえて、設置する場所の環境に合うものを考えていきましょう。
基本の使い方
まず、コンポストの枠の中に土を入れます。土は山からとってきたものでも野菜の栽培に使ったものでも構いません。

土には微生物が住んでいます。その中に生ごみや枯草を入れて、上から土をかぶせます。
土→有機物→土→有機物を繰り返していくだけです。そして、1ヶ月に1回以上切り返しを行います。発酵しているときは微熱を帯びてきます。
生ごみなどの虫が湧きやすいものは土を入念にかぶせたほうが良いです。虫に見つからないように埋めるようなイメージです。
枯草などは腐敗や虫が湧くリスクが低いので、無理して完全に土をかぶせる必要はありません。
好気性発酵
屋外にコンポストを設置して生ごみを日常的に入れていく場合、『好気性発酵』を促すのがお勧めです。
【好気性発酵】とは、酸素が必要な微生物によって発酵・分解させるやり方です。好気性発酵を行うためには、時々土を切り返して(混ぜて)空気を入れてあげる必要があります。
ちなみに、好気性の反対の【嫌気性発酵】とは酸素のない状態で発酵・分解させるやり方です。嫌気性=腐敗しやすい、みたいなイメージもありますが、やり方さえ学べば大丈夫です。我が家ではキッチンにもコンポストを設置していますが、これは嫌気性です。専用の密閉式バケツコンポストで、嫌気的に生ごみを発酵させています。
屋外で日常的に開け閉めする生ごみコンポストは虫や雨が侵入しやすい環境です。嫌気性では失敗しやすく、腐敗し、異臭を放ち、虫が湧く可能性が高いです。嫌気性で腐敗すると、地獄絵図になる可能性があるので注意が必要です。
イメージ的に言うと嫌気性は厳密な管理が必要、好気性はおおらかな気持ちでちょっとずぼらな管理でも大丈夫です。
『好気性がお勧め』と書きましたが厳密には好気性発酵だけが生じるということはなく、嫌気性と好気性がミックスした状態です。漬物をつくる【ぬか床】なども同じ要領で、一つのツボの中で嫌気性発酵もあり、混ぜれば好気性発酵にもなり、というふうなイメージです。定期的に切り返して空気を入れるので、『好気性』と呼んでいます。
屋外でゆったり好気性発酵のコツ

有機物を分解するのは微生物です。コンポストがうまくいく鍵は微生物が働きやすい環境を作ることです。うまくいけば発酵・分解は促進され腐敗を防ぐことが出来ます。
微生物とは、糸状菌や放線菌やバクテリアなどの菌類です。スプーン1杯に1億以上の微生物がいます。
彼らにとって心地よい環境を作り、エサをあげるような気持ちで生ごみを入れると毎日が楽しくなります。微生物を育てるようなイメージを持ちましょう。
①水分
乾燥した場所では微生物が働きにくいので、コンポストには適度な水分が必要です。お風呂場のカビをイメージしましょう。湿度がある場所にカビは生えますね。
【有機物:水:空気】の比率は【2:3:2】が理想ですが、数値ではよく分からないですね。
手を使って適切な水分量を覚えるのがお勧めです。コンポスト(土と有機物のミックス)を手でつかんで握ってみましょう。握ったときに軽く形が残るくらいが理想。水がしたたるようでは水分過剰。形を保てないようでは水分不足です。
これはあくまで一般論でして、よっぽど乾燥しない限りはわざわざ水を入れたりはしなくても大丈夫です。
②空気の量
水と同じくらい重要な要素が、空気。好気性発酵を促したいので、定期的に切り返して空気を土に補充する必要があります。空気の量は、水分量と表裏一体です。水分が多すぎてべちょっとしていると、空気が不足しています。この状態で生ごみを入れると高確率で腐敗します。
水が多く、空気が少ないと感じたら乾燥した枯草や土を入れて調整し、切り返しの頻度を増やすなど工夫をしましょう。これはやっているうちに感覚で覚えると思います。それはべちょっとした感じや腐敗の臭い、虫の湧き具合などで分かってきます。
③窒素の量
窒素(N)は栄養分で、生ごみには多く含まれています。窒素分が多いと発酵は早まりますが臭いを出すアンモニアガスが発生しやすくなります。
山の腐葉土が自然発酵する際は特に異臭などはしません。これは、自然の草木などは窒素分が少なく低温でゆったりと発酵するからです。
投入する生ごみ量(窒素量)が多い時は、窒素分が少ない材料、つまり枯草などを入れて調整します。
まとめ
今回は屋外にコンポストを設置して、定期的に生ごみを入れていく方法をご紹介しました。このようなコンポストは、微発酵です。多量の有機物を使って一気に高温に発酵させる方法ではありません。
イメージ的には、山の落ち葉が自然に分解されていくイメージです。炭素分(植物)を多めに、チッソ分(たんぱく質)を少なめにします。チッソ分が多いと腐敗しやすくなります。
一番重要な点は、水分量です。乾燥気味のほうが無難です。水分過剰になると腐敗しやすくなります。
生ごみが資源に変わる体験ができますので、ぜひチャレンジしてみてください。


