ハンドレッドアカデミーでは、生き方の“モード”を三つに分けています。
〇サバイバルモード
恐怖をエンジンに命を守るためのモード。脳の偏桃体が優位。
〇Doingモード
より良い未来を夢見て創造力をエンジンに何かを生み出すモード。脳の前頭前野が優位。
そしてBeingモードとは、条件なしでただ存在しているモード。
比較や評価を離れて、自然と自分らしく在ることが叶う状態。それがBeingモードです。
Beingモードは、特別なスキルではありません。
心が静かになり、体の力みがほどけ、誰かと比べる必要も、自分を大きく見せる必要もなくなる。
そんな“素の自分”へ静かに帰る時間のことです。
現代では、このモードに入るのが難しくなっています。
SNS、仕事、人間関係、効率、数字。つねに何かに追い立てられる世界では、無意識にサバイバルモードやDoingモードが有意になってしまいます。
だからこそ僕たちは、脳や心、体、自然の仕組みや関係性について学んでいるんです。
「ただ存在している」Beingモード
Beingモードを一言で言えば、“評価から解放された状態”。
何者かにならなくてもいい。
今のままで足りている。
分かりやすく言うと、地位や肩書、財産を投げ捨てたとしても、自分に残るもの。
それを思い出したとき、僕たちは“自分が存在を許されるための条件”をそっと手放すことができます。
脳では恐怖センサーである扁桃体が静まり、思考をつかさどる前頭前野は穏やかに自分を観察している。
腸は細菌たちとともにゆっくりと動き、セロトニンや迷走神経を通して安心のリズムを体全体に届ける。
つまりBeingとは、体・心・腸が一つのリズムにそろう状態。
いのちのチューニングが戻った瞬間なんです。
心と体の仕組みを知ることや、マインドフルネス(観察)をやってみることはとても重要なのです。
Beingモードは「つながり」の中で育つ
人間は「関係」の中で存在が育つ生き物です。
誰か一人でも大切な人がいる。
大切にしたいものがある。
損得感情を超えて「守りたい」「与えたい」と思える対象がある。
その瞬間、僕たちは評価や競争から離れ、“意味”のほうへ静かに軸足が移っていきます。
誰かに褒められるためでも、成功するためでもなく、ただ「この存在を大切にしたい」という感情。その感情が、Beingモードの土台になります。
人でも、ものでも、仕事でも、場所でもいい。
目に見えない価値でもいい。
損得や比較では成立しない関係性を持ったとき、僕たちは自然とBeingへ近づきます。
自分の存在が、誰か(あるいは何か)との関係性によって確かめられる。
すると、“私はここにいていい”という感覚が、体の奥から湧いてくる。
Beingモードは、孤立の中では生まれにくく、つながりの中で静かに育つものなんです。
Beingは、生み出すものではなく“思い出す”もの
サバイバルモードやDoingモードは、いい意味でも悪い意味でも「何かを生み出す」ために体も心もジタバタと動いている状態です。
今日を生きなきゃ。
もっと良くならなきゃ。
もっと頑張らなきゃ。
もっと認められなきゃ。
こうしたエンジンが働いている状態では、僕たちの意識は未来へ、未来へと走り続けます。
でも、Beingモードはその延長線上にはありません。
Beingは、何かを“生み出す”ためのモードではなく、“思い出す”ためのモードです。
「条件なしで存在していい自分」
「誰にも評価されなくても価値がある自分」
それは新しく手に入れるスキルでもなく、努力して身につける筋力でもない。
僕たちがもともと持っているものを“思い出す”という感覚に近いんです。例えるなら、世界に対して無防備でいられる感覚、何かを証明する必要のない状態。
うまくやろうとしない。
結果を出そうとしない。
損得感情でジャッジしない。
比較や役割を降りて、ただ存在してみる。
それが、Beingへの一歩です。
僕たちは、この3つのモードを循環しながら生きている
僕たちは、サバイバルモード、Doingモード、Beingモードの三つの循環の中に生きています。どれも生きるために必要で、状況に応じて静かにスイッチが切り替わる。
その中で、Beingは“幸せに生きていくための土台”です。
社会の中で戦って、時にはうまくいって、時には失敗して、やがて疲れ果てても、それでも最後に戻ってくる場所。そこにあるのが、Beingです。
Beingとは、自分自身が、ただ“在る”こと。
自分の心と体、人とのつながり、世界との関係性によって、そっと現れたり、また静かに姿を消したりする。
だからこそ、
自分にとって大切なものを見つけること。
社会の中でどんな役割を演じていても、本当の自分は“大切なものだけを大切にする存在”であること。
そして、自分にとって大切じゃないものを“大切だ”と無理に思い込まないこと。
それが、Beingを育てる小さな習慣になります。


