私たちは「食べすぎたから太った」と考えがちですが、実はその背景には コルチゾール というストレスホルモンが深く関わっています。
本来コルチゾールは“生き残るための味方”として働くホルモンですが、現代のようにストレスが続く環境では、その働きが逆転してしまいます。
血糖値を上げ、脂肪をため込み、代謝を落とし、さらには「甘い物を欲しくなる脳」までつくってしまう──。
痩せにくさの正体は、意志や根性ではなく ホルモンが緊張モードに入っているかどうか なんです。
この記事では、
短期のコルチゾール(本来の働き) と
長期のコルチゾール(太りやすくなる働き)
を分かりやすく分けて解説し、「ストレスを整えることこそダイエットの核心」という視点をお伝えします。
ストレスホルモン“コルチゾール”
食育とダイエットを考えて考えていくうえで大切なものが、“コルチゾール”というホルモンです。
ハンドレッドアカデミーでは、「しっかり食べて、健康体型」を大切にしていますが、それを実現する要因としてコルチゾールを整えることがとても大切なんです。
コルチゾールとは何かというと、一言で言うと“ストレスに対応するホルモン”です。
仕事。不安。人間関係。どんな種類のストレスであっても変わりないのですが、僕たちの体はストレスを感じると、まず最初に「身を守らなければ」と本能的に反応します。これは性格ではなく、生き物としての仕組みなんです。
ストレスがかかると、脳の深い場所にある視床下部が動き出し、「今、危険かもしれない」「エネルギーを確保しろ」と全身に指令を送ります。
この指令は
視床下部 → 下垂体 → 副腎皮質
という“生命防衛ルート”を通って伝わり、そこでコルチゾールが分泌されます。
コルチゾールは、本来ものすごく大事なホルモンです。
● 危険から逃げるためのエネルギーを確保する(血糖値を上げる)
● 脳に燃料(糖)を送る
● 一時的に体の機能を“サバイバル優先”に切り替える
ここまでは完全に「生き残るために最善を尽くしている働き」。
短期的には血糖を上げて脳をフル回転させ、必要なエネルギーを動員し、体を軽くしてすぐ動けるようにする。
つまりコルチゾールとは、
「いま生き残るために体を最適化するホルモン」
なんです。
でも、ここからが現代の問題です。
本来“短時間だけ出る”はずのコルチゾールが、現代では長期間、慢性的に出続けてしまう。
締め切り、不安、睡眠不足、人間関係の緊張、スマホの通知。
ほんの少しの心のざわつきでも、体は「危険かもしれない」と誤解します。
その結果、
短期間では味方だったコルチゾールが、長期化すると“働きが逆転”してしまう。
・エネルギーを体に蓄えようとする
・代謝を落として燃料を節約しようとする
・結果的に脂肪がため込まれる
つまり、
ストレス → コルチゾール → “ためる体”
へ切り替わるんです。
コルチゾールが悪いのではなく、
現代の生活が“出続ける構造”になっている。ここが、本質なんです。
コルチゾールが慢性的に高いと“脂肪をためる体”になる理由
コルチゾールが高い状態が続くと、体の中では次のことが起こります。
つまり、長期的にストレスにさらされている状態です。
① 血糖値が上昇→インスリンが出続ける
まず、コルチゾールは血糖値を上げます。
脳にエネルギーを優先的に届けるためです。
血糖値が上がると、今度はインスリンが出ます。
インスリンは “脂肪をためるスイッチ”。
分かりやすく言いますと、「血糖値を上げるコルチゾール」に対抗して、「血糖値を下げるインスリン」が慢性的に分泌され続ける、という不思議な状態になっていますのです。
血糖値が下がるというのは、糖質が脂質へと変わるということ。
つまり、
ストレス → コルチゾール → 血糖値アップ → インスリン →血糖値ダウン→ 脂肪蓄積
という流れが自然と起きてしまうんです。
コルチゾールは短期間なら問題ないけれど、
長期ではインスリンを刺激して“脂肪を貯める方向”に働いてしまうのです。
②代謝が落ちる(省エネモード)
僕たちの体は「危険が続いている」と判断すると、基礎代謝を落として燃料を温存しようとします。これも、コルチゾールの機能なのです。
「危険→エネルギーを溜め込もう」という本能的な働きです。
● 脂肪の分解が遅くなる
● 消費エネルギーが減る
● 筋肉が分解されやすくなる(糖新生)
結果として、
脂肪は入りやすく、出にくい体が完成してしまうんです。
ストレスが高いと“ヤケ食いしたくなる”のは意志の問題じゃない
ストレスが強いと、
「甘い物を食べたい」
「脂っこい物が欲しい」
と感じることが増えると思います。
これは、脳の報酬系(A10回路)がコルチゾールで過敏になるためです。
僕たちは本能的に「甘い物→生き残るためのエネルギー」という図式が頭の中で成り立っています。
すると、甘い物や脂っこい物のような“ドーパミンが一気に出る食べ物”が、普段より強い「ごほうび」として感じられるんです。
その結果、
脳が一瞬で安心できるもの=高カロリー食品 を強く求めるようになります。
つまり、「ヤケ食いしたくなる」のはストレスで報酬系が過敏になった“脳の反応” なんです。意志が弱いからではなく、ホルモンがそうさせているだけなんです。
特に夜、コルチゾールが乱高下していると、暴食しやすくなります。
無理なダイエットは逆効果。コルチゾールを増やすだけ
コルチゾールについて知ると、無理にカロリーを減らしたり、
「食べちゃだめ」
「我慢しなきゃ」
といった制限系ダイエットは逆効果だということがわかってきます。
「制限する」という意識そのものがストレスになり、そのストレスによってコルチゾールをさらに増やしてしまう。
結果として、
痩せたいのに、我慢するほど痩せなくなる。
そんな矛盾が起きるのは、全部コルチゾールの働きによるものです。
本来、コルチゾールは僕たちの命を守るための機能。命を守るというのは生命の最優先課題ですので、意思で抑え込むのは容易ではおりません。
命の声を無理に抑え込んで聞こえないフリをしても、コルチゾールは出続けるのです。あなたの命を守るために、食欲を上げて、脂肪を蓄えているのです。
本当に大切なのは、
心の状態を整えること
食事でストレスを感じないこと
コルチゾールが穏やかに整えば、体は自然と“ためない方向”に戻っていきます。
5. 心の緊張を緩めよう
痩せるとは、食べる量の問題ではなくコルチゾールを整えるということ。
ストレスと食欲と体重は、すべてコルチゾールでつながっています。
だから、痩せることを考えるとき、
「何を食べないか」よりも
「どうやって心の緊張をゆるめるか」
のほうがずっと重要なんです。
心が静かになると、体も自然と脂肪をため込まなくなる。ハンドレッドアカデミーでは、心の仕組みやマインドフルネスの実践を紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
痩せるとは、体をいじめることではなく、
いのちのリズムを整えることなんです。


